「左利きの子には、専用の文房具を全部そろえたほうがいい?」
「普通のはさみや定規では困る?」
入学準備を始めると、こんな疑問が出てきますよね。
結論からいうと、左利きだからといって文房具を全部専用品にする必要はありません。
一方で、はさみのように左右で構造が異なり、左利き用を選ぶ意味が大きい道具もあります。
大切なのは「左利きだから買う」のではなく、「その子が実際に使いにくい道具を、使いやすいものに変える」ことです。
この記事では、入学前に確認したい文房具を、優先度が高いもの、困っていたら検討したいもの、普通の製品でも問題ないことが多いものに分けて紹介します。
・左利き用品を全部そろえる必要はない
・最優先で確認したいのは、はさみ
・定規や鉛筆削りは本人の使い方を見て判断する
・鉛筆や消しゴムは「左利き専用」にこだわりすぎなくてよい
・購入前に学校指定の有無も確認する
・実際に困っている道具から一つずつ変える
結論|入学前に全部を「左利き用」にする必要はない
左利きの子の文房具選びで最初に覚えておきたいのは、すべてを左利き専用品にする必要はないということです。
普通の鉛筆や消しゴムなど、左右どちらの手でも問題なく使える道具はたくさんあります。
一方、はさみのように刃の重なり方が左右で違う道具では、左利き用を選ぶことで切る線が見やすくなり、操作しやすくなる場合があります。[1][2]
定規についても、小児作業療法の資料では左利き用定規や、左手で使いやすい線の引き方が紹介されています。[3]
そこでこの記事では、左利き用品を「全部買う」のではなく、優先順位をつけて考えます。
優先度A|まず確認したい文房具
1.はさみ
入学前に最も確認しておきたいのが、はさみです。
右利き用と左利き用では、単に持ち手の形が違うだけではありません。
刃の重なり方が逆になっている製品があり、左手で使ったときに切断線を確認しやすくなります。
Bedfordshire and Luton Children’s Healthでは、左利きの子には左利き用はさみを試すことを案内し、右利き用の刃は左手では見えにくく、動かしにくいと説明しています。[1]
Lincolnshire Children’s Therapy Servicesも、左利き用はさみは一部の作業では重要だとしています。[2]
選ぶときは「左手でも持てる」だけでなく、本当に左利き用の刃になっているか確認しましょう。
また、子どもの手の大きさに合っていること、実際に紙を切れる刃であること、安全に扱えることも大切です。[1]
左利きの子には、時計回りに切ると線を見やすいというアドバイスもあります。[1][2]
優先度B|困っていたら検討したい文房具
2.定規
一般的な定規は左から右へ数字が大きくなるものが多く、左手で使うと目盛りや線を手で隠しやすい子もいます。
小児作業療法資料では、左利きの子が定規を使いにくい場合、右から左へ線を引く方法や左利き用定規が選択肢として紹介されています。[3]
ただし、普通の定規を問題なく使える子まで買い替える必要はありません。
まず一般的な定規を使ってみて、数字が見えない、線を引きにくいなどの困りごとがある場合に左利き向けを検討しましょう。
3.鉛筆削り
鉛筆削りも、製品によっては回す方向や持ち方が使いづらく感じられる場合があります。
左利き用鉛筆削りを選択肢として紹介している小児作業療法資料もあります。[4]
ただし、すべての左利きの子に必要なわけではありません。
学校や家庭で使う鉛筆削りを一度試し、本人がスムーズに削れるならそのままで大丈夫です。
使いにくそうなら、左利き用だけでなく、太く持ちやすいタイプや電動タイプなども含めて検討できます。
4.ノート
左ページに書くとき、リングノートの中央部分へ左手が当たり、書きづらく感じる子がいます。
この場合、必ずしも「左利き専用ノート」が必要なわけではありません。
一般的な綴じノートにする、リングが小さいものを選ぶなど、構造を変えるだけで使いやすくなることがあります。
学校指定のノートがある場合もあるので、入学前に大量購入せず、まず必要冊数だけ用意するのがおすすめです。
5.ペン
左手で横書きをすると、書いた直後の文字の上を手が通り、インクが手や紙につくことがあります。
小児作業療法資料でも、左利きの書字では手で文字をこすりやすいことが指摘されています。[5]
ペンを使う年齢になったら、乾きの速いインクを試す価値があります。
ただし、学校で鉛筆を使う低学年の段階から、特殊なペンをそろえる必要はありません。
優先度C|普通の製品で問題ないことが多い文房具
6.鉛筆
鉛筆は基本的に左右どちらの手でも使えます。
「左利き専用鉛筆」を必ず用意する必要はありません。
重要なのは、本人の手の大きさや発達段階に合い、強く握りすぎず書きやすいことです。
Lincolnshire Children’s Therapy Servicesも、年齢や発達段階に合った筆記具を選び、複数の選択肢を試すことを勧めています。[2]
入学時は学校から濃さや形の指定があることも多いので、まず学校の案内を確認しましょう。
7.消しゴム
消しゴムも基本的に左右共通です。
左利き専用品を探すより、子どもの手で持ちやすく、軽い力で消しやすいものを選ぶほうが実用的です。
小さすぎる消しゴムは力を入れにくいことがあるため、最初は持ちやすい大きさのものを選びましょう。
8.筆箱
筆箱も左右共通の製品で問題ないことがほとんどです。
低学年では、どこに何が入っているか分かりやすく、子ども自身が出し入れしやすいことを優先します。
左利きという理由だけで特殊な筆箱を探す必要はありません。
文房具より先に見直したい「書き方の環境」
左利きの書字では、文房具そのものより、紙の置き方や座る位置を変えるほうが効果的な場合があります。
Bridgewater Community Healthcareの小児作業療法資料では、左利きの書字について、紙を体の中心より左側に置き、右方向へ傾ける方法が紹介されています。[5]
また、左利きの子を右利きの子の左側に座らせると、書くときにお互いの肘がぶつかりにくくなります。[5]
お手本を写す場合には、左手で見本を隠さないよう、見本をページの右側に置く方法もあります。[4][5]
新しい文房具を次々買う前に、
・紙の位置
・座る場所
・お手本の位置
・筆記具を持つ位置
も確認してみましょう。
入学前にそろえるなら、この順番で考えよう
最初から左利き用品一式を購入する必要はありません。
まず、学校から指定される文房具を確認します。
次に、本人にはさみや定規などを実際に使ってもらいます。
そこで明確に使いにくそうなものがあれば、左利き用や左右兼用の商品を試します。
特に、はさみは左右の構造差が使いやすさに直結しやすいため、優先して確認する価値があります。[1][2]
一方、鉛筆、消しゴム、筆箱などは普通の製品から始めて問題ないことが多いでしょう。
買う前にチェックしたい5つのポイント
1.学校からサイズ・形・色などの指定がないか
2.本人が今の道具で実際に困っているか
3.左利き用にすることで何が改善するのか
4.子どもの手の大きさや発達段階に合っているか
5.安全に使えるか
「左利き用」と書いてあるだけで選ぶのではなく、何が違う商品なのかを見ることが大切です。
特にはさみは、持ち手だけでなく刃の向きまで左利き用になっているか確認しましょう。
よくある質問
左利き用品は入学前に全部買ったほうがいい?
いいえ。全部そろえる必要はありません。
まず学校指定を確認し、普通の文房具を試して、本人が困るものだけ変更する方法がおすすめです。
特にはさみは優先して確認し、定規や鉛筆削りなどは使い方を見て判断しましょう。
左右兼用のはさみでもいい?
左右兼用として作られたはさみもあります。[1]
ただし「左右どちらの手でも持てる」ことと、「左手で切断線が見やすい刃の構造」であることは同じではありません。
左手で使ったときに線が見えない、切りにくいと感じているなら、左利き用の刃を採用した製品を試す価値があります。
右利き用の文房具に慣れさせたほうが将来困らない?
無理に右利き用へ慣れさせることを目的にする必要はありません。
普通の製品を本人が問題なく使えるならそのままで構いませんし、道具の構造によって明らかに使いにくいなら、使いやすい製品へ変えればいいでしょう。
道具に子どもを合わせるのではなく、子どもに合う道具を選ぶ、という考え方で十分です。
まとめ|全部買うより「困っているもの」を選ぼう
左利きの子どもの入学準備では、文房具を全部左利き専用にする必要はありません。
まず優先して確認したいのは、左右で刃の構造が異なるはさみです。
定規、鉛筆削り、ノート、ペンなどは、実際の使い方を見て、困っている場合に変更を検討します。
鉛筆、消しゴム、筆箱などは、左利き専用にこだわらず、本人が持ちやすく使いやすいものを選びましょう。
「左利きだから全部そろえる」ではなく、「この道具が使いにくいから変えてみる」。
この順番なら、余計な買い物を減らしながら、その子に本当に必要な道具を選べます。
左利きのミカタでは、今後それぞれの文房具について、選び方や実際の商品も詳しく紹介していきます。
次に読む
→ 左利きの子どもが困りやすいこと15選|家庭・学校・外出先
→ 子どもの左利きは直したほうがいい?親が知っておきたい考え方
参考資料
[1] Bedfordshire and Luton Children’s Health. Supporting your child’s scissor skills / Scissor skills.
[2] Lincolnshire Children’s Therapy Services. First Move – Left-handedness.
[3] Oxford Health NHS Foundation Trust. Children’s Occupational Therapy Education Referral Pack.
[4] Northamptonshire Healthcare NHS Foundation Trust. Children’s Occupational Therapy – Left-handedness resources.
[5] Bridgewater Community Healthcare NHS Foundation Trust. Writing Advice for Left Handed Children.



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