左利きの子どもが困りやすいこと15選|家庭・学校・外出先

「左利きだと、学校生活で困ることはある?」
「左利き用の道具は全部そろえたほうがいい?」

子どもが左利きだと分かってくると、こんなことも気になりますよね。

左利きだから必ず困るわけではありません。ただ、身の回りには右手で使うことを前提にした道具や配置も多く、左利きの子がちょっとした使いにくさを感じる場面があります。

大切なのは、子ども本人を「右利きに合わせる」ことではなく、何が使いにくいのかを具体的に見つけて、道具や環境を調整することです。

この記事では、左利きの子どもが家庭・学校・外出先で困りやすいことを15個に分け、それぞれの理由と家庭ですぐできる工夫を紹介します。

内容の根拠となる小児作業療法などの専門機関資料も、記事の最後にまとめています。

この記事のポイント

・左利きだから必ず15個すべてに困るわけではない
・本人の能力ではなく、右利き前提の道具や配置が原因のことも多い
・まず無料でできる環境調整を試す
・必要なものだけ左利き用の道具を検討する
・「右手に直す」より「左手でやりやすくする」という視点を持つ

目次

左利きの子どもが「困りやすい」のはなぜ?

左利きそのものが問題なのではありません。

困りやすさの多くは、文字を書く方向、机の座る位置、はさみの刃、文房具の形など、右利きの人が使いやすいように作られた環境との組み合わせで生まれます。

小児作業療法の資料でも、左利きの子には紙の位置や角度、席順、見本の置き方、はさみの種類などを調整する方法が紹介されています。[1][2][3]

つまり「左利きだから仕方ない」で終わらせる必要も、「右手に直せば解決する」と考える必要もありません。

何に困っているのかを一つずつ見れば、ちょっとした工夫で楽になることがあります。

学校・勉強で困りやすいこと6選

1.文字を書くと手や紙が汚れやすい

日本語の横書きは左から右へ進みます。左手で書くと、書いた直後の文字の上を手が通りやすく、鉛筆の黒鉛や乾く前のインクで手や紙が汚れることがあります。

専門機関の資料でも、左利きの子は書いた文字を手でこすって汚しやすいことが挙げられています。[1]

工夫としては、紙を少し右に傾け、手首が文字の下側を通りやすい位置を探してみましょう。速乾性のペンを選ぶ方法もあります。[1][3]

「字が汚い」と注意する前に、まず紙の位置と筆記具を確認してみてください。

2.書いている文字が手で隠れやすい

左手がこれから書く場所や書いた文字の上に重なり、自分の文字を確認しづらくなることがあります。

紙を体の左側寄りに置き、少し右へ傾ける方法が小児作業療法資料で紹介されています。[2][3]

鉛筆を先端ぎりぎりではなく少し離して持つと、書いている場所が見やすくなる子もいます。[3]

全員に同じ角度を押しつけるのではなく、本人が文字を見やすく、腕を無理なく動かせる位置を一緒に探しましょう。

3.右利きの子と隣り合うと肘がぶつかる

机を並べて書いたり絵を描いたりするとき、左利きの子が右利きの子の右側に座ると、お互いの利き腕がぶつかることがあります。

これは能力ではなく、単純に座る位置の問題です。

左利きの子を左側、右利きの子を右側にすると、腕同士が外側へ動くためぶつかりにくくなります。

この席順は複数の小児作業療法資料でも勧められています。[1][2][3]

家庭の食卓でも使える簡単な工夫です。

4.はさみで線が見えにくい・切りにくい

これは左利き用品を検討する価値が高い代表例です。

右利き用と左利き用のはさみでは刃の重なり方が異なります。右利き用を左手で使うと、切りたい線が刃に隠れたり、刃に力が伝わりにくかったりすることがあります。[4]

左利きの子がはさみを使いにくそうなら、まず左利き用を試してみましょう。

専門機関では、左利きの場合は形を時計回りに切ると線を確認しやすいというアドバイスもあります。[4]

5.先生や親の右手のお手本をまねしにくい

鉛筆、箸、工作などを右利きの大人が教えると、左利きの子から見ると動きが左右逆になります。

特に細かな手の動きは、「同じようにやって」と言われても分かりにくいことがあります。

可能なら左手でゆっくり見本を見せる、向かい合って鏡のように見せる、完成形だけでなく途中の動きを見せる、といった工夫ができます。

書字のお手本については、左手で隠れない位置に見本を配置する方法も専門資料で紹介されています。[2][5]

6.ノートやリングが手に当たりやすい

リングノートやバインダーでは、左ページに書くときに中央のリングへ左手が当たり、書きにくく感じることがあります。

これは道具の構造による困りごとです。

普通の綴じノートを試す、リングが小さいものを選ぶ、必要に応じて紙を外して書くなど、その子が使いやすい方法を探してみましょう。

すべての文房具を「左利き専用」にする必要はありません。困っているものだけ変えれば十分です。

食事で困りやすいこと3選

7.隣の人と肘がぶつかる

学校の机と同じように、食卓でも右利きの人と利き腕が向かい合う配置になると、肘がぶつかりやすくなります。

左利きの子をテーブルの左端に座らせるなど、左腕側に少し余裕をつくるだけで改善できます。

「食べ方が悪い」と考える前に、座る位置を変えてみましょう。

8.箸などのお手本が左右逆に見える

右利きの親が横に並んで箸の持ち方を教えると、子どもは左右を置き換えて考える必要があります。

うまく伝わらないときは、向かい合って見せると鏡のようになり、動きを理解しやすいことがあります。

大切なのは、右手で持たせることではなく、左手で無理なく食事ができる方法を教えることです。

9.共用の道具や配置が右手前提の場合がある

食卓や調理場では、お玉、トング、調味料などが右側にまとめられていることがあります。

子どもが毎回不自然に手を伸ばしているなら、よく使うものを中央に置くだけでも使いやすくなります。

専用品を買う前に、まず「置き場所」を変える。

これは家庭ですぐできる、一番簡単な環境調整のひとつです。

家庭・生活で困りやすいこと3選

10.右手前提の文房具や道具が使いにくい

はさみ以外にも、鉛筆削りなど左右差のある製品があります。

ただし、「左利きだから全部専用品」と考える必要はありません。

本人が普通の製品を問題なく使えているなら、そのままで大丈夫です。

使いにくさが出たものだけ、左右兼用や左利き用を検討しましょう。

11.定規で線を引く・目盛りを見るときに工夫が必要なことがある

一般的な定規は、左から右へ数字が大きくなるものが多く、左手で線を引くと数字や線を手で隠しやすい場合があります。

まずは定規の置き方や線を引く方向を変えて、本人が見やすい方法を探します。

それでも使いづらければ、右から左へ目盛りが並ぶ左利き向け定規などを検討する選択肢もあります。

12.パソコンのマウスなどが右手前提になっていることがある

学校や家庭のパソコンでは、マウスが最初から右側に置かれていることが多くあります。

左手で使いたい子なら、マウスを左側へ移すだけで済むこともあります。

設定によって左右のボタン機能を入れ替えられる場合もあります。

一方で、本人が右手のマウスに慣れていて困っていないなら、無理に左へ変える必要もありません。

「左利きならこうする」と決めるより、本人が使いやすい方法を選びましょう。

外出・集団生活で困りやすいこと3選

13.座席や机の配置によって動きにくい

学校、習い事、飲食店など、隣との間隔が狭い場所では左腕を動かすスペースが足りないことがあります。

左端の席を選ぶ、隣の人と利き腕がぶつからない位置に座るなど、座席だけで解決できる場合があります。

子ども自身が「左側が空いている席のほうが使いやすい」と分かるようになると、自分で環境を選ぶ力にもつながります。

14.共用品に左手向けの選択肢が少ないことがある

学校や施設に置かれている共用のはさみなどが右利き用中心で、左利き用が用意されていないことがあります。

本人が困っているなら、学校や園に左利き用の道具があるか確認してみましょう。

必要なら自分の道具を用意する方法もありますが、まずは「何が使いにくいのか」を確認することが先です。

15.周囲から「右でやって」と言われることがある

道具そのものより、周囲の理解不足が困りごとになる場合もあります。

「右手のほうが普通」「右に直したほうが楽」と言われ、本人が左手を使うことを悪いことのように感じてしまうことがあります。

左手を自然に選んでいるなら、左利きそのものを欠点として扱う必要はありません。

家庭では「左でも大丈夫」と伝え、学校や祖父母にも家庭の考え方を共有しておくと安心です。

関連記事:子どもの左利きは直したほうがいい?親が知っておきたい考え方

困ったときは「本人を直す」より環境を変えてみよう

15個を見て、「左利きって大変そう」と感じたかもしれません。

でも、すべての左利きの子がこれら全部に困るわけではありません。

紙を少し傾ける。
席を一つ変える。
道具を中央に置く。
左利き用のはさみを用意する。

それだけで解決することもあります。

困りごとが起きたときは、まず「この子が苦手なのかな?」ではなく、「道具や環境を変えたらやりやすくならないかな?」と考えてみてください。

左利き用品は全部そろえる必要がある?

全部そろえる必要はありません。

普通の製品を問題なく使えているなら、それを使い続けて大丈夫です。

一方、はさみのように左右で構造そのものが違い、使いやすさに大きく影響する道具もあります。[4]

おすすめは、まず家にあるものを使ってみて、実際に困ったものから見直すこと。

「左利きだから買う」のではなく、「この道具で困っているから変える」という順番なら、不要な買い物も減らせます。

関連記事:左利きの子どもにおすすめの文房具|入学前にそろえたい道具と選び方

まとめ|小さな工夫で「できた」を増やそう

左利きの子どもが感じる使いにくさには、本人の能力ではなく、右利きを前提にした道具や環境が関係していることがあります。

今回紹介した15個すべてに対策する必要はありません。

まず子どもの様子を見て、「実際に何に困っているのか」を一つずつ見つけていきましょう。

紙の角度を変える。
座る位置を変える。
道具の置き場所を変える。
必要なものだけ左利き用を選ぶ。

そんな小さな工夫で、「うまくできない」が「できた」に変わることがあります。

左利きのミカタでは、子どもを周囲に無理に合わせるのではなく、その子が使いやすい方法を見つけるための情報を紹介していきます。

次に読む

→ 子どもが左利きかも?利き手はいつ決まる?年齢別の見分け方と親ができること

→ 子どもの左利きは直したほうがいい?親が知っておきたい考え方

→ 左利きの子どもにおすすめの文房具|入学前にそろえたい道具と選び方

参考資料

[1] Bedfordshire and Luton Children’s Health. Handwriting and typing.

[2] Bridgewater Community Healthcare NHS Foundation Trust. Writing Advice for Left Handed Children.

[3] Cambridgeshire and Peterborough Children’s Health. Occupational Therapy Ready to Learn Pack.

[4] Bedfordshire and Luton Children’s Health. Scissor skills.

[5] Evelina London Children’s Healthcare. Occupational Therapy School Age Resource Pack.

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